ナガエツルノゲイトウ

ナガエツルノゲイトウとは

 ナガエツルノゲイトウは、南アメリカ原産の水草で1989年に兵庫県尼崎市で定着が初めて確認された外来生物です。

 国内への侵入過程は明らかではないものの、アクアリウム等の観賞用に意図的に導入後、野外逸出したと考えられています。

 2005年には外来生物法により「特定外来生物」に指定され、拡散を防ぐために栽培、保管、運搬、放出、植栽等が禁止されています。

 

【分類】

 被子植物 真正双子葉類 ナデシコ目 ヒユ科

【学名】

 Alternanthera philoxeroides (Mart.) Griseb.

【生態的特性】

 ・乾燥に強く、水辺だけでなく陸域でも生育可能

 ・耐塩性があり、沿岸部や汽水域などの塩分を含んだ環境でも生育可能

 

分布状況

 日本国内では、29都府県で確認されています。

 荒川水系では、2017年に越辺川で初めて確認されて以降、芝川や入間川で確認されています。荒川下流部では2025年時点で2市7区のすべての沿川自治体(戸田市・川口市、墨田区・江東区・北区・板橋区・足立区・葛飾区・江戸川区)で分布が確認されています。


荒川水系における

ナガエツルノゲイトウの確認記録と推定生育範囲

【生育情報の情報元】

・河川水辺の国勢調査 河川環境データベースシステム(国土交通省)

・埼玉県外来種マップ(埼玉県)

東京都内における

ナガエツルノゲイトウの確認記録

【出典】

・東京都HP「ナガエツルノゲイトウ対策について」(東京都)


主な被害

 ナガエツルノゲイトウは、驚異的な繁殖力と環境適応性によって分布が拡大すると、生態系、農業、治水・安全上への被害を及ぼし、結果として私たちの暮らしに深刻な悪影響をもたらします。

①生態系への被害

・水辺や陸域に生育する在来植物と競合し、在来植物の減少を引き起こします。
・河川やため池などで繁茂して水面を覆うことにより、水生生物の生息環境が悪化します。
・河川や干潟で繁茂して砂泥地を覆うことで、魚類・ゴカイ類・貝類・甲殻類等の生息環境が悪化します。


ナガエツルノゲイトウが広範囲に混在する湿地環境

水際を独占するナガエツルノゲイトウ


②農業への被害

・水田( 畦畔を含む) や畑地で繁茂し、栽培植物と競合します。
・農業水利施設で繁茂し、通水を阻害します。
・農業機械の操作(収穫作業等)の障害となります。


用水から水田内に流れ込んだナガエツルノゲイトウの断片

用水路内で繁茂するナガエツルノゲイトウ


③治水・安全上の被害

・水辺で繁茂した個体や流出した個体が、河川や水路の通水を阻害します。
・流出した個体により、用排水機場の取水・排水時の障害、除塵機やポンプ等への負荷や詰まりを引き起こします。
・船舶の航行への障害になり、河川沿いの船着き場などの舟運施設の利用に支障をきたします。

出水後に流れ着いた大量のナガエツルノゲイトウ

(写真提供:埼玉県生態系保護協会・戸田・蕨支部)

排水ポンプ場に流れ込むナガエツルノゲイトウ

を除塵機で取り除く様子
(画像提供:川口市上下水道局)


駆除・防除に向けた取組み

 特定外来生物のナガエツルノゲイトウは全国的な拡散が懸念されており、駆除・防除を目的とした様々な取組みが全国的に行われています。

①駆除マニュアル

 ナガエツルノゲイトウの防除対策を全国的に共有・推進するため、農林水産省、環境省、農業・食品産業技術総合研究機構などが連携して令和3 年10 月に開催された「ナガエツルノゲイトウに係る全国会議」で報告された内容などをとりまとめた「ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル」が公表されています。

 このマニュアルでは、生態的特徴や被害事例に加え、除草剤の体系的な使用、人力・重機による除去など多様な駆除手法が紹介されています。また、駆除後の個体の適切な処分方法や、地域住民・行政の連携による水系単位での監視体制の重要性も強調されています。

 令和7 年3 月には最新の調査結果を反映した改訂版が公開され、現場での実効性向上が図られています。

 

【参考資料】

ナガエツルノゲイトウの駆除対策について(農林水産省)

https://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/nagae.html

②河川版の防除対策マニュアル

 国土交通省は、河川における外来植物の拡散防止を目的に「地域と連携した外来植物防除対策ハンドブック(令和7 年度増補版)」を作成しています。この資料では、全国の河川で問題となっている20 種の外来植物について、生態や防除方法を事例とともに紹介されています。特に、地域住民や河川管理者が協力して監視・除去を行う重要性が強調されており、官民連携による実践的な取り組みも掲載されています。令和7 年度増補版では、新たにナガエツルノゲイトウなど10 種が追加されています。

 

【参考資料】

地域と連携した外来植物防除対策ハンドブック(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo04_hh_000260.html

③荒川水系での取組み

 荒川水系では、行政や現地で活動をする市民団体等が連携をして、ナガエツルノゲイトウの防除に取り組んでいます。

 

■東京都

 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/exotic_species/nagae

 

■埼玉県

 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0907/nb/nagaethurunogeitou.html

 

■NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム

 https://cleanaid.jp/knowledge/nagaetsurunogeito